映画「スノーデン」鑑賞レビュー!彼は英雄か犯罪者か。世界最強の国に闘いを挑んだ一人の愛国者の物語

当ページのリンクには広告が含まれています。

どーも、Micoです!

TOHOシネマズのスタンプが結構貯まってたので先日もまた映画を観て参りました。

今回鑑賞したのは「スノーデン」。

2013年にアメリカ政府による違法な通信傍受が行われていたことをエドワード・スノーデン氏が暴露し、世界中に衝撃が走ったことはまだ記憶に新しいところだと思います。

数多くの社会派映画を送り出してきた巨匠オリバー・ストーン監督によって、スノーデン氏がアメリカの最高機密を暴露するまでに至る経緯が映画化され、1月の末に日本でも公開が始まりました。

普段はアクション映画ばかり観ている私も、この作品には衝撃を受けました。

ただ、事実に基づいてはいるものの、この映画では一部映画独自の演出や現実とは異なる設定が存在します。
ここではあくまで映画「スノーデン」の内容についての感想を語っていくので、実際に起きた出来事や人物とは食い違ってしまうかもしれません。

また既に一般的に知られている出来事なのでこの記事ではネタバレには特別配慮しません。予めご了承ください。

読みたい項目に飛ぶ

エドワード・スノーデンという一人の人間

世間では方や売国奴、方や英雄と両極端な評価を受けるスノーデン氏ですが、この映画では国の機密を扱うという重圧に苦悩しながらも私生活では恋人と穏やかな日常を過ごす人間「エドワード・スノーデン」の姿が垣間見えます。

元々は特殊部隊志望

世間ではいわゆる”ハッカー”、”ギーク”というイメージが強いスノーデン氏ですが、実は元軍人です。
2004年、彼が20歳の時にアメリカ軍に入隊し、特殊部隊に自ら志願。

過酷な訓練の日々を送りますが、訓練期間中のある日に両足を骨折してしまい、除隊を余儀なくされてしまいます。

失意の中にいたスノーデン氏ですが、医者から言われた「他の方法で国に尽くせ」という言葉により、自分の優れた頭脳を活かすことができるCIA(アメリカ中央情報局)に入局を決めます。

情報機関での任務

2006年にCIAに入局。
訓練施設”ザ・ヒル”でサイバーセキュリティを学び、優秀なエリートの集まりであろう訓練生の中でも抜きんでた才覚を発揮。

翌年にはスイスのジュネーブに派遣され、サイバーセキュリティ関連の任務に従事するも、そこで彼が目にしたものはパスワードで守られているはずの一般市民のメールやチャット、SNSアカウントの中身、果てはパソコンのWebカメラ映像など、あらゆる情報を検索できるシステムと、それを違法に運用しているCIAの裏の顔。

恋人との私生活、赤裸々な情事すら監視されているのではないかという恐怖と、政府に対する不信感を抱いたスノーデン氏はCIAの辞職を決めます。

2008年に情報公開を公約に掲げたオバマ政権が誕生したことで、この現状が変わることを期待したスノーデン氏ですが、政府による監視はむしろ拡大の一途をたどります。

CIAを辞した彼はNSA(アメリカ国家安全保障局)と契約を結んでいた民間企業に勤務し、技術スタッフとして日本の横田基地にも赴任。

余談ですが、スノーデン氏は日本語を独学で勉強するほどの親日家で、日本のアニメや漫画といったサブカルチャーを好んでいました。
分野は多少違えど、メタルギアシリーズのオタコンを彷彿とさせる。

君もオタクかい?

さらにハワイにあるNSAの工作センター”トンネル”に赴任したスノーデン氏はより高レベルな機密情報に近づく立場になりますが、そこでかつて自らが構築に携わったシステムがドローン攻撃に使われていることを知り、また止まることのない監視の拡大にショックを受けた彼はいよいよ情報の暴露を決意します。

恋人の存在

CIA入局と同時期に交流サイトで知り合ったリンゼイ・ミルズ氏とワシントンで初対面を果たします。
愛国者であるスノーデン氏に対して、リンゼイさんはリベラル派で政府にも批判的。
思想も性格も相反する二人でしたが不思議と意気投合し、交際がスタート。

リンゼイさんと過ごす日常シーンは一人の男性としてのスノーデン氏の素顔が垣間見え、この映画においてとても重要なウエイトを占めています。

仕事柄、任務の内容は彼女にも明かすことができず、スノーデン氏もその恐怖と重圧から強いストレスを抱えていたことで一度関係がこじれてしまいますが、後にお互いの歩み寄りによって修復。

スノーデン氏がアメリカを敵に回す決意をしてもなお彼を捨てることはせず、その行動を支持。

暴露後は捜査機関による相次ぐ取り調べを受けながらも、現在はスノーデン氏のいるロシアのモスクワに移住し、人生を共にしています。

海外ドラマはフィクションじゃない

もう10年は軽く経ったでしょうか。
日本でも「24-TWENTY FOUR-」「プリズンブレイク」といったサスペンスドラマが大ブームとなり、私も大好きでした。
というか今も大好きです(笑)

その中では普通に民間の監視カメラの映像にアクセスしていたり、銀行口座の金の流れを令状も取らずに追っていたりということをやっていましたが、これはもう現実のものとなっています。

今や当たり前にパソコンに取り付けられているWebカメラを介して私生活が盗撮され、google検索と同様に検索ワードをエンジンに打ち込むだけで個人のツイートはもちろん、一般には公開されていないアカウントの中身まで簡単に見られてしまいます。

我々も例外ではありません。
日々何気なく書き込んでいるツイートや閲覧しているWebサイトがすべて、見ず知らずの誰かに筒抜けになっている。

これほど恐ろしいことはない。
この映画を観て自分がいかに平和ボケしていたのかを思い知らされました。

たぶん私がWordpressで書いた公開していない下書きとか、見ようと思えば余裕で見られるんでしょうね……。

これは明らかにテロ対策の目的を逸脱しており、不合理な捜索・押収を受けないことを定めた合衆国憲法に反した行為です。

スノーデン氏がしたことは確かに機密漏洩に当たるでしょうが、何も知らないでいた世界中の人たちに真実を知らしめたことはとても意義深いものであったと言えるでしょう。

日本の生殺与奪はアメリカの手に

スノーデン氏が横田基地に赴任した時に知ったことですが日本のインフラにはマルウェア(コンピュータウイルス)が仕込まれており、万が一にも日本がアメリカの同盟国でなくなった場合、つまり敵対するような状況になった際にはそれが起動し、日本の機能を完全に停止させることすらできます。

日本にはエシュロンという通信傍受システムが置かれており、前々からアメリカの情報機関によって日本国民の通信が監視されているということが言われていましたが、スノーデン氏による告発でその裏付けも取れました。

日本がアメリカの敵になるような状況は想像できませんし、したくもありませんが、日本の命運は良くも悪くもアメリカに握られているということに疑いの余地はないでしょう。

まとめ

まるで戦闘が起こらない「メタルギアソリッド」や「24-TWENTY FOUR-」を観ている気分になりましたが、この映画で描かれたことのほとんどは事実であり、もはや現実の世界がフィクションを超えようとしています。

映画館から家に帰ってきた後すぐにスノーデン氏と同様にパソコンのインカメラをテープで塞いでしまいました(笑)

ただ、冒頭でも書きましたがスノーデン氏が機密情報を持ち出した方法をはじめ、一部創作が含まれています。
これは彼が起訴されている身なので実際の方法を明かせないという事情もあるのですが(パンフレットに記載されていたオリバー・ストーンインタビューによる)、実際に起きた出来事を知るという意味ではほかの書籍などのメディアで補強が必要だと言えます。

これはあくまで純粋に一つの映画として楽しむべきです。

特に俳優陣の演技が素晴らしく、特に主演のジョセフ・ゴードン=レヴィットはスノーデン氏の”ギーク”っぽさを十二分に表現しており、まったく違和感がありません。

普段はマーベルばかり見ている私もこの映画を観てより実際に起きた出来事を知りたくなりました。
さすがはオリバー・ストーン。

今度は「シチズンフォー スノーデンの暴露」というドキュメンタリー映画の方も観てみたいと思います。

2013年に起きた一連の出来事について少しは知っておきたいという方や、純粋にサスペンスやエスピオナージものが好きだという人にもオススメできます。

是非一度、観てみてください!

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

シェアしていただけると嬉しいです!
  • URLをコピーしました!
読みたい項目に飛ぶ