お家時間が多くなってきた昨今、以前にも増してネット環境の充実度は人権にも関わる重要な問題だ。
YouTubeやAmazon Prime Videoを毎日のように視聴し、SwitchやPlayStationのオンライン機能を利用する我が家にとって強固な固定回線は電気、ガス、水道、Amazonに匹敵するライフラインだと言っても過言ではない。
いくら携帯会社が無制限プランを出そうが5Gが普及し始めようが、まだまだ固定回線の代わりにはなり得ない。
本当ならNURO光やauひかりにしたいところだけど、工事に時間がかかったり、そもそも建物自体が対応していなかったりして、多くの賃貸物件にご多分に漏れず、我が家の回線の選択肢はフレッツ光一択だった。
フレッツ光は利用者が多い反面、NURO光などと比べると速度が劣るのではないかというイメージを持っている人も多いと思うし、僕も契約する前はそんな不安を抱えていた。
この記事を書いている現在の僕は、フレッツ光コラボレーションの1つである「ビッグローブ光」を自宅のメイン回線として利用しており、快適なネットライフを満喫している。
僕自身は、家電量販店でのセールスで言われるがままにネット回線を契約しそうになったり、ショッピングモールでわけのわからないモバイルWi-Fiに引っかかりそうになったりと、通信サービスに関してはかなり苦労してきたという自負がある。
そんな経緯からネットや通信についてはかなり勉強してきたという自身があるので、それらの知識を自分なりにまとめながら解説をまとめていきたい。
この記事は以下のような方に参考にしてほしい。
- 固定回線の導入を検討している人
- 集合住宅に住んでいる人
- auひかり、NURO光が導入できない人
- フレッツ光コラボってどうなの?って気になっている人
IPv6オプションのおかげでフレッツ光でも高速
自宅にインターネットを導入する際、回線事業者として契約するNTTとYahoo!やビッグローブといった、インターネットに接続する窓口であるプロバイダの2つの会社と契約する必要があったのは今は昔。
現在はNTTが光回線を各事業者に卸売して、プロバイダがまとめてインターネット接続サービスを提供するフレッツ光コラボレーションが主流。
これまでフレッツ光が遅い遅いと言われてきた大きな原因の一つとして挙げられるのがPPPoEという接続方式にある。
PPPoE接続は光回線とプロバイダつなぐ網終端装置を経由する接続方式。
あらゆる機器がネットにつながる昨今は接続するデータ量が増大したことで網終端装置が悲鳴を上げており、通信速度の低下を招いている。
そんな状況を打破するべく現れたのがIPoE接続を提供するVNE事業者だ。
VNE事業者とはVirtual Netrwork Enablerの略称で、プロバイダに対してIPv6接続サービスを卸提供する事業者を指す。
他社プロバイダにIPv6接続サービスを提供するだけでなく自前でプロバイダを運営している事業者もあり、例としてはOCN光を提供するNTTコミュニケーションズやビッグローブ光を提供するBIGLOBEなどが該当する。
IPoE接続を簡単説明するとPPPoE接続で問題となっていた網終端装置を経由しない、高速化された接続方式だということ。
IPv4 over IPv6で全ての通信を高速化
ただ、IPoEでの接続では従来のIPv4による通信では対応できないという制限も存在する。
これから出てくるIPv4とかIPv6というのはネットに接続する機器にIPアドレスを割り当てる技術のことを指す。
インターネットに接続する機器には例外なくIPアドレスと呼ばれるインターネット上における住所のようなものが割り当てられる。
現実世界で住所がわからないと郵便が届かないのと同じように、IPアドレスがないとどこに情報を届ければいいのかわからないからだ。
機器ごとにIPアドレスを割り振る技術として、これまではIPv4という技術が使われてきた。
このIPv4が生成できるIPアドレスの数は全世界で約43億個。
世界の総人口よりも圧倒的に少なく、あらゆる機器がネットに接続されている現代ではとても足りない。
そんなIPアドレスの枯渇問題に対応すべく新たに生み出されたのがIPv6というわけ。
IPv6が生成できるIPアドレスの数はなんと全世界で約340澗個。
これは340兆の1兆倍のさらに1兆倍という途方もない数字ということらしい。
今はまさにIPv4からIPv6への移行期間の真っ只中であり、まだまだIPv4による通信にしか対応していないというサービスもザラにある。
そこで登場するのがIPv4 over IPv6という技術だ。
ちなみに光コラボ事業者各社はこれをIPv6プラスとかIPv6オプションというように言い方に多少バラつきがある。
普通に考えるとIPv4による通信は通信速度が遅くなるPPPoE接続方式になってしまうはずのところ、このIPv4 over IPv6はIPv4の通信をIPv6に変換することによってIPoE接続を可能にしている。
IPv4 over IPv6の恩恵によって、フレッツ回線でもほとんどすべての通信を高速でやり取りすることができるようになっており、僕の環境下でも下りでGoogleのスピードテストで常時300〜400Mbpsの速度を叩き出している。
使っているルーターが少し古いので新調すればもっと速くなるかもしれない。
ただし、すべてのIPv4の通信をIPv6に変換できるかというとそうではなく、一部のサイトやサービスにおいてはIPv4 over IPv6を利用できないものも存在するので、オンラインゲームなど自分がよく利用するサービスやサイトの対応の有無は調べておく必要がある。
またIPv4 over IPv6は日本独自のガラパゴス技術であるため、ほとんどの海外メーカー製のルーターは対応していない。
この記事を書いている時点でIPv4 over IPv6に対応している海外メーカーはTP-Linkくらいであり、ルーターの選択肢が狭まってしまうというのもデメリットの一つと言える。
自分が好きなメーカーのルーターを導入しつつIPv4 over IPv6を利用する方法としては、ひかり電話を契約してホームゲートウェイを設置することでホームゲートウェイにルーターの役割を担わせ、ルーターはアクセスポイントモードで運用するという方法もなくはない。
しかし、使いもしないひかり電話に月に500円も支払うというのは正直どうかと思う。
これは完全に余談だが、僕は2020年の菅政権の携帯料金値下げ政策の前にUQ mobileの旧プランに申し込んでおり、ビッグローブ光とのセット割でひかり電話の月額を相殺するという方法でホームゲートウェイを導入している。
現行のプランに変更すれば5Gが使える上、データ通信量も5GBアップするので、その上でひかり電話を廃止したほうが絶対におトクなのだが気力がわかず未だに変更できていない。
光コラボレーション事業者選びはどうする?
これに関しては正直、どこと契約しようと使う回線自体はフレッツの光回線となるのでIPv6オプションを提供しているのであればどこでもいいと思っている。
ここで紹介するコラボ光は全て最高で1Gbpsの速度が出ると謳っている。
これはベストエフォート方式と呼ばれる「最大限努力して出せる速度」という意味なので、実際にはこの数値の半分くらいの500Mbpsも行けば御の字だ。
といっても、FPSのようなシビアなゲームをプレイするゲーマーや、相当大容量のデータをやり取りするのでもなければ100Mbpsも出れば日常の利用でストレスを感じることはないはず。
僕が通信料金の見直しを行った当時はスマホ料金のネット割を考えてUQモバイルとビッグローブ光という組み合わせを選んだ。
そこで言うと今はahamoやpovoのように、複雑な割引などなくても充分料金が抑えられた廉価プランが数多く登場しているので、無理にスマホと同じ系列の会社と契約する必要もない。
選ぶポイントとしては料金やキャッシュバックなどで選んでしまってもいいだろう。
ただ、安さだけで選んでなにかトラブルが起きたときのサポートはダメダメでしたでは困るので、ある程度企業としての体力があるところを選びたい。
ちなみにあなたが今フレッツ光を利用しているなら基本的に工事費がかからない転用、今フレッツ光回線を自宅に導入していない場合は工事費が必要になる新規申し込みになる。
工事費については2年や3年の縛りはあるものの、キャッシュバックキャンペーンなどで負担をなくすことができることがほとんどなのでそこまで心配しなくてもいい。
もちろん契約期間内に解約する場合は、違約金と工事費の残債が請求されるので注意が必要だ。
ここでは僕が実際に乗り換えを検討しているサービスも含めて紹介していく。
ビッグローブ光
僕が現在進行形で利用している「ビッグローブ光」を最初に挙げさせてもらった。
選んだ理由としては、この記事を書いている時点で1年以上利用しており、僕が住んでいる部屋の環境下においては一度として回線に不具合が起きたことはなく速度も非常に安定している。
またキャッシュバックを毎月の料金に適用することで、ひかり電話込みでも月に約4,000円程度の料金で利用できているのも嬉しいポイントだ。
ちなみにひかり電話をわざわざ契約した理由は前述の通り。
ネックなポイントはビッグローブ光に限った話ではないけれど、この料金を実現するには3年縛りを受け入れなければならないところ。
ビッグローブ光の場合は契約期間中に引っ越すことになっても、引っ越し先がフレッツ光を導入できる物件であれば継続して利用可能なので他よりは3年縛りを受け入れやすいと言えるか。
ちなみに3年以内に解約した場合の違約金は20,000円。
契約の手続きは全てオンライン上で完結できるのに、解約する場合は電話での対応となる点も地味にいやらしい。
現状ビッグローブ光にはなんの不満もないけど、キャッシュバックによる割引も3年で終わるのでそのタイミングで別のサービスに乗り換えるつもりだ。
OCN光
僕がビッグローブ光との契約満了後の転出先の候補の1つとして考えているのが「OCN光」。
なんといっても老舗だし、NTTブランドの安心感もある。
2年縛りという条件はあるものの、特にキャッシュバックとかややこしいことをしなくても月額3,600円+税で利用可能。
なんならビッグローブ光の3年縛りより1年短いし、仮に2年以内に解約したとしても11,000円の違約金で済む。
ええやん。
So-net光
「So-net光」は料金こそ少しお高めだが、僕が利用しているUQモバイルとのセット割があること(ひかり電話を契約する条件付きではあるが)、記事執筆時点でのキャッシュバックの条件がよかったので候補に入れた。
月額が他より少しお高めな4,480円+税というのと3年縛りという条件はあるものの、新規入会で合計60,000円、僕のような転用でも合計で40,000円というキャッシュバックというのはかなり魅力的だ。
新規で考えた場合、工事費分が割引になる上に時期は2回に分かれるものの60,000円のキャッシュバックがもらえるということは、60,000円÷36ヶ月で1ヶ月辺り1,666円の値引きに相当するので実質的な負担で考えた場合かなりおトクだと言える。
ひかり電話を契約するのであれば、UQモバイルとのセット割も受けられる。
楽天ひかり
僕は楽天カードのユーザーではなく、楽天経済圏を特に利用しているわけではないけれど、そんな僕でもなかなか魅力的な内容なので「楽天ひかり」を乗り換え先の候補に入れた。
「楽天モバイル」とともに契約することで、楽天ひかりの1年間の料金が無料になる上にスマホの料金も3ヶ月分無料になるという破格の条件だ。
本当に大丈夫なのか、楽天。
楽天モバイルは1ヶ月に1GBまでの利用であれば、0円で運用できるのでサブ回線として1つ持っておいても邪魔にならない。
僕はiPad mini 6のセルラーモデルに挿してテザリング用のモバイルWi-Fiの役割も兼ねて運用している。
料金が発生する2年目からの料金も3,800円+税ということで、光コラボ事業者の中でも比較的安価な価格設定と言える。
3年縛りというネックを加味しても検討に値する魅力がある。
まとめ
記事のまとめは以下の通り
- 今までフレッツ光が遅かったのは網終端装置の逼迫が原因
- IPv6オプション(IPv4 over IPv6)の利用でフレッツ光でも混雑の影響を受けづらくなる
- どこの事業者を選んでも利用する光回線自体は同じNTTのもの
- なので事業者は基本的に料金で選んでOK
- 月額を安くするにはある程度、縛りを覚悟する必要がある
フレッツ光は多くの賃貸物件で導入のハードルが低く、工事もそこまで待たされないのがいい。
IPv6オプションのおかげでネックだった速度低下の問題にも対応できているので、多くの家庭で高速の固定回線が導入できるようになってきている。
テレワークが広まっているのももちろんだが、現代ではネットに接続する機器は自分が思っている以上に多い。
健康で文化的な最低限度の生活を送るのであれば、やはり固定回線は必須といえる。
ネットの通信品質にお悩みであれば、是非ともIPv6オプションやIPv6プラスというサービスが使える光コラボレーションを検討してみてほしい。